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ウクライナ反攻開始までまだ時間必要


ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は10日、西側諸国から供与を約束された武器を受け取る必要があるため、ロシアに対する反攻開始にはまだ時間が必要だと話した。BBCなど欧州各国の公共放送とのインタビューで述べた。 「すでにあるものでも前進して成功することはできる」と大統領は述べる一方で、「しかしそれでは多くの人命が失われる。それは受け入れられないと思う」として、「そのため待たなくてはならない。まだ少し、時間が必要だ」と話した。 北大西洋条約機構NATO)の加盟国による軍事訓練を受けたものを含め、複数の旅団がすでに戦闘開始可能な状態にあるものの、ウクライナ陸軍はまだ「いくつか」必要としているものがあると、ゼレンスキー氏は話した。必要なものには「数台ずつかたまりで」やってくる装甲車も含まれるという。 ウクライナがいつどこでロシアに対する反攻を開始するのかは、明らかにされていない。ロシア軍は全長1450キロにわたる前線での、防衛体制を強化している。前線は東部ルハンスクやドネツクから南部ザポリッジャ、ヘルソンへと至る。 ウクライナ当局者はこのところ、反攻に対する期待値を下げようとする発言を重ねてきた。 匿名を条件に取材に応じたウクライナ政府幹部は、反攻を「成功させなくてはならないと(政府首脳は)理解している」ものの、それがこの戦争の勝敗の決定打になるとは思わない方がいいと慎重な姿勢を示した。 他方でゼレンスキー大統領は、「凍結した紛争」はロシアの期待にかなうものだとして、その危険性を指摘。ウクライナ軍は反攻によって前進できるはずだと自信を示した。 ウクライナによる反攻は、昨年2月から始まり、このところは膠着(こうちゃく)が続く戦争の勢力図や前線の位置を塗り替える、決定的なものになる可能性がある。 西側諸国がこれまで提供してきた支援を有効活用して、戦場での勝利につなげられるか、ウクライナにとっても重要な局面となる。西側諸国の期待に十分に応えられなかった場合、西側の支援が減り、ロシアと和平交渉するよう求める圧力がウクライナに対して高まる可能性がある。 ウクライナの領土は現時点で2割近くがロシア支配下にあり、同国のウラジーミル・プーチン大統領はウクライナの4州の併合を一方的に宣言している。それだけに、和平協議には領土割譲が議題として含まれる可能性がある。 「誰にでもいろいろな考えがあるだろうが、領土を明け渡すようウクライナに圧力をかけようとしても無駄だ。プーチンに自国の領土をあげてしまうなど、そんな国が世界のどこにある」と、ゼレンスキー氏は述べた。 ゼレンスキー氏はさらに、必要なだけいつまでもウクライナを支援すると約束するジョー・バイデン米大統領について、仮に2024年大統領選で敗れることがあればどうなるかと問われると、米連邦議会では超党派ウクライナが支持されていると答え、懸念を退けた。 「(米大統領選が行われる時点で)我々がどうなっているか、誰にも分らない。それまでに私たちは勝っているはずだと思う」とも述べた。 現時点ではウクライナもロシアも、勝つまで戦うと宣言しているため、和平交渉の現実的な見通しは薄い。 ゼレンスキー大統領は、10項目の和平案を明らかにしており、その中でロシアが占領したすべてのウクライナ領土の返還や、戦争関連の損害賠償、ロシアによる戦争犯罪を裁くための国際特別法廷の設置などを要求。これをロシアは、真っ向から拒絶している。 ゼレンスキー氏はさらに、西側諸国によるロシアへの制裁がロシアの国防産業に打撃を与えていると指摘。ミサイル備蓄や砲弾・弾薬の減少を、ロシアが補充しきれずにいると話した。 「(ロシアの)倉庫にはまだたくさん残っているが(中略)すでに一部の地区では1日に使う砲弾の数を減らし始めた」と、ゼレンスキー氏は述べた。 ただし、ロシア政府は一部の制裁を回避する抜け道を開拓していると大統領は指摘。ロシアの制裁回避を助けている当事者への対応を、西側諸国に求めた。 ウクライナが3日にクレムリン(ロシア大統領府)をドローン2機で「攻撃」し、プーチン大統領を暗殺しようとしたとロシア政府が非難している件については、ゼレンスキー氏はあらためてロシアの言い分を否定した。 ゼレンスキー氏は、「ドローン攻撃」はおそらくロシアの自作自演の偽旗作戦だろうと述べ、ロシアがウクライナ攻撃の「口実」に利用していると批判した。 「(ロシアは)常に自分たちのやることを正当化するものを見つけようとする。『お前たちが我々にああいうことをしたから、我々はお前たちにこうするんだ』という具合だ」 「しかしうまくいかなかった。国内に対してさえ、うまくいかなかった。ロシアのプロパガンダを広める連中さえ、信じなかった。とてもとても、うそくさく見えたからだ」 イギリスでは現在、欧州各国が歌やパフォーマンスを競う「ユーロヴィジョン」がリヴァプールで開かれている。本来は、昨年の「ユーロヴィジョン」で優勝したウクライナが開催地になるはずだったが、戦争中の状況を受けてリヴァプールが代理となった。 ゼレンスキー氏は、ウクライナで開けないにしても「ウクライナ国民が簡単に行くことができて近くで楽しむことのできる」近隣諸国で開かれた方が良かったとした上で、イギリスは「素晴らしい国」で「とても尊敬している」と話した。