新型コロナウイルスをめぐり、個人が「今後1カ月以内に新型コロナウイルスに感染する」「感染した場合に死亡する」と思う主観的なリスク評価は、データに基づく実際のリスクを5～10倍も上回るという研究結果を専門家が公表した。コロナ禍において、科学や政策に関する情報が国民に正確に伝わっていなかった可能性もあるという。
研究結果を公表したのは、東京大の仲田泰祐准教授（経済学）ら。国民に感染や死亡のリスクが正確に伝わっていたかを検証するため、2月下旬、全国の20歳以上の男女約4万人にアンケートした。 その結果、「今後1カ月以内に感染する」と思う主観的なリスクの中央値は5・1%で、実際の感染リスクの0・4%（2月8日時点）の10倍以上だった。 「感染した場合に死亡する」と思う主観的なリスクについては中央値が0・8%で、第8波の実際の死亡リスク0・16%の約5倍だった。また、身の回りに感染による死者がいた場合は死者がいない場合に比べ、主観的な死亡リスクが1・24倍高かった。 一方、ワクチン接種歴がない人は接種歴がある人に比べ、感染リスクを約26%、死亡リスクを約30%それぞれ低く見積もっていた。
