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米大統領に靴を投げつけたイラク人


 イラク戦争を始めた米国のブッシュ大統領(当時)が2008年に首都バグダッドを訪問した際、記者会見中の同氏に靴を投げつけて波紋を呼んだイラク人ジャーナリストのムンタゼル・ザイディ氏(44)が、20日イラク戦争から20年になるのを前に朝日新聞の取材に応じた。自身の行為について「国民は占領者を受け入れないというメッセージを世界に発信したかった。まったく後悔はしていない


 ブッシュ氏は08年12月、イラクの首都バグダッドを予告なしに訪れ、当時のマリキ首相との共同記者会見に臨んだ。  「イラク人からの別れのキスだ。犬め」  「夫を失った女性、親を失った子どもたちからだ」  衛星テレビ局の記者だったザイディ氏はアラビア語でこう叫び、2度靴を投げつけた。ブッシュ氏がとっさに身をかがめてよける様子は全世界に放映された。アラブ世界では、人に靴を投げる行為は、最大の侮辱とされる。  ザイディ氏は拘束されたが、イラクでは「ブッシュに最高の贈り物をした」などと英雄視され、釈放を求めるデモも起きた。当時の報道では、釈放される際、スポーツカーや資金提供の申し出、求婚も相次いだと、家族が明かしていた。  ザイディ氏はその後、レバノンなどで生活。帰国後、18年に行われたイラクの国民議会選(総選挙)に立候補したが、落選した。  ザイディ氏は靴を投げた理由について、「この犯罪的な侵略者(ブッシュ氏)に対する自分の行為は、全世界にメッセージを伝えようとしたものだった。イラクで行われている残虐な行為は許されないと言いたかった」と説明した。  イラク戦争から20年を迎えるにあたり、「サダム・フセイン政権は悪い政権だったが、その後の政権はもっと悪い。米国は大いなる独裁のフセイン政権を破壊し、小さな独裁者たちのいる政権に変えてしまった」と非難した。  イラクではこの戦争の後、激しい反米闘争やテロ、宗派対立による内戦状態、過激派組織「イスラム国」(IS)の出現などにより、おびただしい数の市民が犠牲となった。  近年は、政府の統制が利かない数々の武装勢力が政治や社会に影響力を持ち、汚職縁故主義もなお横行している。ザイディ氏はこうした状況について、「米国が20年前にイラクに連れてきたのと同じ面々(政治家)が、今もイラクを支配し、権力を握っている」と語った。  また、イラクが隣国イランと米国の対立の舞台になっていることにも言及。「イラクの政権は米政府に相談なしに政治判断を下せず、主権もない」とする一方、「イラクでは、ため息が出るほどイランの内政干渉が非常に大きく、イランが支援する民兵がかっぽしている」と指摘した。