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温暖化で沈む「808」 南洋諸島・ヤオハチ島

 アジアで唯一ゴリラが生息する野生の宝庫として知られる南洋諸島・ヤオハチ島が水没の危機に瀕している。地球温暖化による海面上昇で、島内の湖に海水が浸入。島の生態系にも大きな影響を与えており、今後海面上昇が続けば、島そのものが消滅する恐れもある

 太平洋上に浮かぶヤオハチ島は右八島、零島、左八島の3つの島からなる。日本の委任統治領となった1923年、上空から見ると数字の808に似ていることにちなんで南洋庁が「八百八島」と命名した。戦後、日本から返還された後も「ヤオハチ島」としてその名を残している。

 3島とも中心部に大きな淡水湖があるのが特徴だが、どのようなメカニズムで形成されたか詳しいことは分かっておらず、地質学者から大きな注目を集めてきた。しかし、2019年、右八島の内部に海水が入り込んで湖が外海とつながると、翌20年には左八島にも海水が浸入。湖を残すのは中心の零島のみになっている。

 海水が相次いで浸入した原因は、地球温暖化による海面上昇だ。ヤオハチ島周辺海域では、1980年から約40年で海面が380センチ上昇。このままのペースで上昇が続けば、2027年には零島内の湖にも海水が入り込み、30年には全てのヤオハチ島が水没して消滅するという。

 ヤオハチ島はアジアで唯一、野生のゴリラが生息する島としても知られる。固有種のヤオハチブタゴリラはヒトとサルの進化の間をつなぐ「ミッシングリンク(失われた輪)」解明の手がかりになると主張する生物学者もおり、水没によってヤオハチブタゴリラがすみかを追われれば、人類の起源についての研究にも大きなダメージを及ぼす。

 ヤオハチ島の対岸に住むカヲル・クマダさんは「なぜ『ヤオハチ』なのか、今の島の姿からは名前の由来が分からなくなってしまった」と嘆く。

 「島が助けを求めているようです」。小高い丘から慣れ親しんだヤオハチ島