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「ジョブ型」雇用、電機大手から導入の動き…年功色を維持した

 日本企業で、社員ごとに職務内容を明確にして処遇を決める「ジョブ型」雇用を活用する動きが広がってきた。国際的に人材の獲得競争が激化し、年功序列型の賃金などを特徴とする従来の雇用制度では対応し切れなくなっているためだ。競争力の強化につなげるには、働き手の理解や意識変革を促すことも欠かせない

 ジョブ型は2023年春闘でも多くの企業で議論され、企業向けシステムを手がけるパナソニックコネクトは4月から導入すると決めた。NECは23年度から幹部層で導入し、24年度に全社員に広げる方針だ。
 ジョブ型は職務を特定して従業員を雇用する仕組み。欧米の企業では主流だ。人材の流動化を促し、生産性向上や、優秀な人材の賃上げにつながるとされ、経団連が活用を呼びかけている。
 特に電機大手で導入が進む。社会のデジタル化が進み、世界で異業種を含めて、IT人材の獲得競争が激化していることが背景にある。
 日立製作所は22年7月、国内の全従業員約3万人を対象にジョブ型の人事制度を導入した。研究、営業など職種と階層ごとに職務内容や責任などを定めた約450種類の「職務記述書」を作成し、必要な技能や経験も設定。24年には全世界の37万人に広げる計画だ。富士通は22年度から、全従業員の9割に拡大させた。
 他の業界でも活用は進み、JR東日本は24年度の新卒・中途採用から「開発・不動産」「データマーケティング」などで導入する。金融業界では、SOMPOホールディングスが23年4月から管理職以外にも広げる。
 だが、ジョブ型を全面的に採用すると、年功序列型の賃金制度や終身雇用制などの大転換につながる可能性がある。現状では、導入した企業でも年功色が強い賃金制度を維持した「日本型ジョブ風制度」(労組関係者)が主流だ。高度な技能を持つ一部の人材や、専門的な職種の賃金を上積みする仕組みにとどまっているケースも多い。
 従業員側の意識が追いついていない例もみられる。三菱ケミカルは20年からジョブ型を導入し、部長などのポストを社内公募に切り替えたが、昨年末までに募集した2700件への応募は約半分にとどまるという。
「ジョブ型を定着させるには個社の取り組みだけでは難しい。新卒一括採用を前提とする大学教育から変えることが必要となる」